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「イメージを形にする」という喜び
antsを助けてくれる「antsのなかまたち」を紹介するスタッフインタビューですが、今回はantsがアニメーションでよくお世話になっているクリエイティブディレクター/アニメーターの青池良輔(あおいけ りょうすけ)さんにお話を聞いてみました。
山口県下関出身の青池さんは、大阪芸術大学映像学科映画コースを卒業後、カナダ・モントリオールの映画制作会社に制作部として入社。カナダに15年在住しCM制作などを行った後、福岡へ引っ越し 「Fever Creations」を設立されました。antsではアニメーションを使ったCMをつくる時などにお世話になっています。数々のCMに登場するキャラクターたちを活き活きと動かしてくれています。
(2025年6月3日に公開されたnote記事の再掲になります)
アニメーターってどんな仕事ですか?

アニメーターと言っても、弊社ではいわゆるセルアニメやアニメ会社的なことはしていなくて、専門的にいうと「デジタルカットアウトアニメーション」と言われる平面のイラストに3Dアニメーションのようなボーン(骨組み)を入れて動かす形式が多いです。絵さえあれば何でも動かすことができます。キャラクターを動かすことはもちろん、文字や記号を動かすモーショングラフィックス的なものもあります。
CM作業においては、ディレクターの意向や絵コンテの指示に合わせて、絵を気持ちよく動かす仕事です。 キャラクターアニメーションでは、意図する動きや感情がより伝わるように絵を動かすことが求められます。
アニメーターになった経緯は?
実は僕の場合はアニメーターに「なりたい!」と思ってなったわけではないんです。もともとは映像演出志望で、 大学も大阪芸術大学の映像学科・映画コースに通っていました。ただ、僕の時代は就職氷河期で入れる会社が本当に少なく、結果、人伝に辿ってカナダで劇場用の長編アニメ作品を作っているプロダクションを紹介していただき、そこに入社したという流れです。

カナダ人の英語の先生の彼氏の家にルームシェアしながら毎日働いていましたが、ある日、動いていた日本に関係があるプロジェクトの終わりが見えてきました。そうなると「この日本人もういらないねえ?」って雰囲気が漂ってきました(笑)そんな時に、その制作会社が、映画の試写会の招待状の発注を忘れていたことが発覚。「これはチャンスだ!」と思って「明日の朝までに僕が用意するから心配しなくて大丈夫」とだけ伝えました。
まぁ、実際にはデザインなんてまったく分からなかったのですが、とりあえず印刷会社に向かったら、良い感じのお兄ちゃんがいたので、その人に発注しました(笑)翌朝には、美しい招待状を完成させることができたので「なに、デザインとかできるの!?」と聞かれましたが「できるかできないかで言えば、できてますね」と答えました(笑)
当時、社内にデザイナーが必要とされていたこともあり、この一件でデザイナーとしてのポジションをゲットすることができ、会社に残ることもできました。とは言え、Photoshopも触ったことがなかったので、初期のiMacで画像を開いて見様見真似で独学で頑張っていたら、いつの間にかデザインができるようになっていました。
その後「印刷もやってくれ」と言われますが、もちろんそれも全くわからない。日本の印刷会社の人のふりをしてカナダの印刷会社に潜り込んで「あぁ〜日本と同じやり方なんだね〜」なんて言いながら学んでいきました(笑)
そんな感じで働きながら、当時、紙の企画書じゃなくて動的なコンテンツ(CD-ROM)で企画書を作っていて、その経験から「これ、アニメが作れるじゃん!?」と閃いて、WEBアニメーションの副業をはじめました。
そこから1日1枚アニメを描く日々が始まりますが、奥さんから「ただ、描くだけじゃもったいない」と言われ、それらを集めて本にしました。今、思えばこれがアニメーターとしてのスタート地点かもしれませんね。(下の写真はその時の本の表紙です)

その頃、インターネット上に個人制作のアニメをアップするのが流行り始めていて、自分でも短編アニメを作ってみたんです。そうしたら「一人企画、一人監督、一人プロダクション」みたいな、自分にとって夢のような環境で、さらにそれなりの収入も得られるようになってハマってしまった。気がついたらその流れのまま会社になり、今に至るという感じです。
アニメーターの仕事の醍醐味は?
もう全部が楽しいですよ。例えば、コンテを切るのも楽しいですし、そのコンテを実現するためにキャラクターをデザインするのも楽しい。アウトプットすることが楽しいんですね。キャラクターを狙い通りに動かせたときも本当に気持ち良いですし、 完成した時も嬉しい。それを褒められたら、それも嬉しい。アニメーション制作のどのステップにも「イメージを形にする」という喜びがあると思います。
アニメーションをつくる仕事には、集団で制作する場面も多くありますが、その時に「相手の意図を汲み取ること」と「自分の意図を伝えること」がむずかしいですね。例えば「わ〜っと散らしといて」と言われた時に、その「わ〜っと」の度合いがどれくらいなのか?その部分の擦り合わせが1番大事であり、1番むずかしいですね。
料理の味加減と同じで、お客さんによって好みの塩加減があるから、いろんな資料をもらったりしながら好みを捉えることができると比較的スムーズに進みやすいですよね。いっしょにものづくりをする時に、丁寧に伝えるには手間も時間もかかりますし、指示を出しすぎると相手の可能性を潰してしまうこともあります。 この辺りは、いろんな現場を経験しないとなかなか慣れないかも知れませんね。
antsとのお仕事の印象は?
最近では「newmo」さんの案件で、海原やすよともこさんのイメージを車のデザインに取り入れるというプロジェクトをご一緒させてもらいました。
やすとものお2人をクルマにするという企画ですが、大きく言うと似顔絵ですよね。一般的には、似顔絵のポイントって「人と違う部分の誇張」なんです。なので、ある意味、特徴を誇張する形で変な風に描くと似てくる。
そうは言っても、タレントさんのお顔を変に描きすぎるのも微妙だし、そもそも「車で似せるってどういうこと?」ってところに立ち戻ってしまう。でも、結果的には、antsチームのみなさんにうまく導いていただいて、良い方向にまとめることができましたね。 作業していて本当に「導かれた」感じがして楽しかったです。
antsのみなさんは、カジュアルでフットワークが軽く、スピード感もありますし、仕事していて気持ちいいですね。とは言え、きっと裏では、皆さん夜を徹して頑張っておられるんだろうなと思いますが。
アニメーターになるためには
「アニメーター」と言っても言葉の括りが大きいので、アニメを作りたいのか、携わりたいのか、アニメを表現手段として使いたいのか、など目的によってアプローチは変わってくると思います。
アニメを実際に作りたいと思うのであれば、正直、1種類のアニメ絵しか描けないというのは、仕事としては厳しいです。僕は図工の成績は悪くなかったですが、美術の勉強はしておらず、今でも絵を描くのはしんどいです。
ただ、表現手法は知っておきたいと思っているので、映画はよく観ます。20代の頃は「この映画いいな」と思ったら、同じ映画を何度も観て、「なぜいいのか?」を考えるようにしていました。 逆に評判の悪い作品を真剣に観て「なぜ評価が低いのか?」を考えたりもしていました。とにかく「これを作りたい!」と思える1本を繰り返し観て、カット割りや構図、セリフ、音楽のタイミングなどを丁寧に分解してみるのはとても良いことだと思います。
たとえば「1日経過した」と言うことアニメ上で伝えるにはどういう表現があるのか。「1日後…」ってテロップで書いちゃうのが良いのか、フェードイン/フェードアウトで表現するのか、とか、手法は色々ありますよね。これは漠然と「あんな感じ」ではなく、的確に指示を出せるようになるためにも必要な訓練になると思います。
料理人が他店の味を研究するように、いろんな映像作品に触れてみるのが大事なんじゃないかなと思います。楽しい仕事なので、仲間が増えるのはうれしいですね。
