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視覚情報で企画をまっすぐ伝える
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antsを助けてくれる「antsのなかまたち」を紹介するこのコラム。今回は、コレオグラファーのChaso(ちゃそ)さんにお話を聞いてみました。
コレオグラファーとは、振付師のこと。振付と言うとアーティストなどのダンスを思い浮かべる方も多いと思いますが、ChasoさんはCMやミュージックビデオなど、映像の中の動きをつくる仕事をされています。CMの企画や演出の意図を、動きによってどう伝えるか。そのために、どんなことを考え、現場でどう向き合っているのか。振付の仕事の、奥行きが見えてくるお話です。
Chaso
映像・ライブ演出を中心に活動するコレオグラファー。7歳よりクラシックバレエ、ジャズ、コンテンポラリーダンスを学び、2015年から映像作品を中心にダンサー/振付師として活動を開始。2017年より映像表現の拡張を目的にフィンガースタイルダンス(Tutting)を学び始める。現在は企業CM、アーティストMV、LIVEステージングなど幅広いメディアで振付を手がける。
コレオグラファーって、どんな仕事ですか?

私は映像の振付をすることが多いので、「どんな視覚的効果を生むか」を考える仕事だと思っています。
CMの場合は、まず企画や演出が決まっていますよね。それに合わせて、どう動いたら、その企画や演出がまっすぐ伝わるかを考えます。自分のところに話が来るまでに、みんなが何を目指していたのか。それを動きとして具体的な形にする仕事、という感じです。antsさんとご一緒したお仕事も、そういう関わり方でした。
映像の振付をするようになったきっかけは?
もともとはコンテンポラリーダンサーとして、舞台で即興で踊ったりしていました。でも、舞台で踊ってもその場で終わってしまって、形に残らないことに切なさを感じていて。割と早い段階から、映像に関わりたいと思っていたんです。映像なら形として残っていくので。
最初は自分がダンサーとして踊る側になりたかったのですが、KIRINJIさんの「killer tune kills me feat. YonYon」のMVで振付をさせていただく機会を得て「こういう関わり方もあるんだ」という発見がありました。もともと友人だった鈴木健太監督が、声をかけてくれたのがきっかけです。
その後、キタニタツヤさんの「タナトフォビア」のMVに関わらせていただいた時に「自分は出ない」と決めて振付だけに専念してみたことが大きかったですね。最初は出演する方向の話でもあったのですが、自分が出ない方が視野が広く持てて、作品が良くなると思ったんです。自分自身の踊りを高めていくより、イメージを人に伝えて「こういう方向に高めてほしい」とお願いする方が、自分に向いているのかもしれないなと、そこで、考え方が切り替わりました。
CMの振付には、どんな面白さがありますか?
振付を仕事にしたいと思った頃から、CMはやりたかったんです。短い時間だからこそ、インパクトや、自分の経験値が試されます。MVのように、楽曲を深く解釈し、動きで世界観を表現する振付制作も大好きですが、CMはそれとは違う視点が必要になる。そこにも挑戦してみたかったんだと思います。
CMの面白さは、出演者のファンの方々だけがメインの視聴者になるわけではないということですね。アーティストMVやアイドルさんの振付だと、私はまずファンの方々のことを考えるので、そこが違うんですよね。CMは何気なくテレビを見ているいろんな方々たちが対象。だから、例えば「これを自分のおばあちゃんが見たら、どう感じるんだろう」「この動きのコミカルさは伝わるのかな」と考えます。

ただ、変わった動きにすることが、いつも大事なわけではありません。記憶に残った方がいいとは思いますが、そのために振付を変にするべきなのか、もともとの企画が変わっているから、動きは普通にした方がいいのか。そういうことを考えますね。
どうやって動きを考えるのでしょうか?
まず、リファレンスというか参考になる作品を探すことが多いです。「可愛く踊る」「商品を持って踊る」「ちょっとレトロな感じにしたい」など、お題をいただいたら、まずはそれに近しいものを探してみる。それが自分にとっては大事なポイントですね。
antsさんとご一緒した「ブロスタ」のCMのときは、漫画のイメージがパンと浮かびました。「少年ジャンプ」の見開きカラーページで、いろんなキャラクターが、いろんな場所で、いろんなことをしているみたいな絵がありますよね?あの絵がすごく好きだったんです。それをやりたいなと思って、ポーズをつけていきました。

デカキンさんのCMでは、まずデカキンさんの動画をたくさん見ました。その上で、監督からいただいたリファレンス資料を参考にしながら「この動きをしたら可愛いかも、面白いかも」と、タタタタっといろいろな案を出して監督に選んでいただく進め方にしました。

監督によっても違うんですよね。「これがいいと思います」と提案してほしい方もいらっしゃる。WINTICKETの吉田監督は、演出や動きのイメージをいつもしっかり持っていただいている印象があるので、それを実現できそうなものをいろいろ出して選んでいただこう、という感じでした。
映像ならではの、動きの難しさはありますか?
例えば、手元を中心にした振付は、カメラが寄っているとすごくいいのに、引いた画になるとスカスカに見えてしまうことがあります。
「このカットは寄ります」と決まっていたり、SNS用に別の振付をつくるのであれば、手元や上半身を中心に考えられます。でも、引きの画もあるCMと、SNSの両方で同じ振付を使いたいとなると、見え方のギャップが生まれるんですよね。
撮影現場で大切にしていることは?
振付をつくることも大事ですが、現場でどんなサポートができるかは、すごく大切にしています。例えば、演者さんに動いていただくときのきっかけになる「せーの!」という声かけ。毎回、適切なタイミングで、間違えずに言うことが大事です。
あとは、鏡のように動いて振付を伝えること。向かい合った相手に右手を上げてほしいとき、自分は左手を上げながら「右」と言います。瞬時にそれができることが、意外と必要なんです。

相手は踊りの専門ではないケースが多いのに、ダンサーに振付を教えるのと同じように説明してしまうアシスタントには、「自分のお父さん、お母さんにこの振付を教えるとき、その説明の仕方をする?」と指導します。声のかけ方も、振付の教え方も、そういうところに気を配れることが、コレオグラファーとして大事だと思っています。
antsとの仕事の印象を教えてください
すごく印象深いチームです。ベテランの方から若い方まで、みなさんがお揃いのTシャツを着ていて。チームワークが見えて、仲が良さそう、楽しそうだなって思いましたね。
現場には、程よいほぐれ感がありますよね。いい緊張感はありつつ、みなさん楽しそうに仕事をされているのが印象的です。あと、「お弁当はここにありますよ」「食べましたか?」って、いろんな方が声をかけてくださるんです。そういうところまで気を遣ってくださる気配りややさしさがうれしいですね。
コレオグラファーを目指す人に伝えたいことは?
私はご縁でこの仕事を続けられていると感じているので、まず、ご縁や感謝の気持ちを大切にしてほしいです。
あとは「私、このままで大丈夫かな」と不安だったときに、別部署の先輩が「一つひとつの仕事を120%頑張ってやれていれば大丈夫だよ」と言ってくださったことがあって。その言葉を胸に、今も頑張れています。
あとは、やっぱり数ですね。どんどんつくっていかないと、うまくならないと思います。アシスタントの方と接していても、「できない」というより、まだ「知らない」だけなんだろうなと思うことが多いんです。やる気があって、教えていけば、いつか分かってくれる。なので、この先一緒に仕事をするコレオアシスタントの方々には、やる気と素直さがあるとが嬉しいなと思っています。