なぜantsが、川崎フロンターレのスポンサーをしているのか

なぜantsが、川崎フロンターレのスポンサーをしているのか

ants代表の北尾です。我々antsはJリーグクラブの川崎フロンターレのオフィシャルパートナーをしています。今年で3シーズン目に入りました。なぜ映像制作会社が、サッカークラブのスポンサーをしているのか。ちょっと意外な組み合わせですよね?でも、そこにはちゃんと意味があるんです。

フロンターレのいちばんの魅力は、地域に根ざしたあたたかさです。自分は川崎市民ではありませんが、そのあたたかさは感じるし、ずっと応援していると、忘れられない場面がどんどん増えていきます。奇跡のような逆転劇、大きな怪我から戻ってきた選手の活躍、大好きだった選手の引退。興奮して叫んだり、涙を流したり。この歳になると、日常でここまで感情が解放されることはなかなかありません。スタジアムは、それが素直にできてしまう場所です。

「いつかスポンサーなんかできたら最高だよね」という夢物語はありました。いわば現実味のない憧れでした。そんな憧れが急に現実になったのは、人の縁でした。フロンターレが好きだと話していたら、スポンサーをされている梶ヶ谷クリニックの羽生先生を紹介していただきました。「北尾さんもスポンサードしちゃいなよ!」と背中を押され、翌日にはクラブの営業担当の方をご紹介いただくことに。話はそこから、とんとん拍子に進みました。

話が現実的になったとき、まず考えたのは、これまでよりもっとクラブの近くに行くのであれば、自分たちの得意なことでクラブに貢献したいということでした。映像制作プロダクションの得意なことは、もちろん映像をつくることです。長く応援してきたからこそ、映像に込められるものもあるはずだと思いました。

実際に、クラブのCMや特別な試合の告知映像などに関わらせてもらっています。なかでも印象に残っている案件が、明治安田J1百年構想リーグのスペシャルユニフォームのお披露目映像です。お話をいただいたときは、純粋にうれしかったです。企画を考え、制作の準備をして、撮影をする。そこはいつもの仕事と同じように、プロとして淡々と進めていきました。ただ、完成すると、サポーターのみなさんにどう受け止められるのか、やはり反響は気になります。

公開後、スタジアムに行くと、自分たちが映像を作ったユニフォームを着たサポーターがたくさんいて、その光景を見たときは、素直に感動しました。ピンク色のアウェイユニフォームにいたっては、完売したそうで、それもうれしかったです。スポンサーをしていてよかったと感じた、忘れられない経験のひとつです。

もちろん会社のお金を使う以上、好きという気持ちと同時に、会社としての意味も考えます。そこに合理性があるか、社員に説明できるかは、ちゃんと考えなければいけません。名刺にフロンターレのエンブレムを入れさせてもらってからは、名刺交換の際のアイスブレイクとして話が弾むようになりました。採用面接でも、フロンターレのスポンサードの件はよく話題に上がります。一緒に試合を観戦して、フロンターレを好きになってくれた社員もいます。これが縁ではじまった仕事もいくつかあり、実利の観点でも意味はあったと言えると思っています。

加えて自分にとっては、スポンサーの社長同士のつながりも大きなものです。一般的に、社長は孤独と言われますが、その通りだと思います。仕事柄、いろいろな会社の社長と会う機会は少なくありませんが、どうしてもビジネスの話になりがちです。でも、ここでは普段接点のないようなさまざまな業種の社長たちと、同じクラブを応援しているという共通点があり、立場を超えて1つのボールの行方に一喜一憂できるのです。心を許し合える楽しい友人ができたことは財産です。

また、このスポンサードは実利以上にブランディングとしての効果もあると考えています。

antsのVisionは「蟻が象を倒すかもしれない」です。ものすごくざっくり言うと、少数精鋭のチームで「世の中の常識を超えてあっと言わせてやりたい」という思想です。そもそも自分は、普通の制作プロダクションをやろうと思ってantsを創業していません。スタートアップ企業がCMをつくるというあたらしい流れが生まれた時、これまでの業界のやり方ではそのスピードや予算に合わなかった。だったら、これまでとは違うスタートアップのための制作会社をつくってしまおう、そこから始まった会社です。社内に編集室をつくり、エディターを迎えるという普通と違う流れも、これまでの常識を疑い、自分たちに必要なことを考えての流れでした。

自分は「昔からそうだから」「一般的にそう言われているから」をとにかく一度疑ってみます。合理的に考えたら、こうしたほうがよくないか?ということがたまにあります。それを見つけたら自分はチャンスだと思って飛び込みたくなります。

たとえば、まだ縦型ショートドラマが今ほど広がっていなかった数年前、友人のCM監督が縦型ドラマの制作に挑戦するとはじめたクラウドファンディングには真っ先に出資しました。これまでのCM業界の常識的な動きと真逆を行く彼の挑戦を応援したかったし、業界が面白くなるきっかけになればと思ったからです。

普通じゃないことをやる、普通じゃないことをやっている人を応援する。これがantsのブランディングになると信じています。もちろん奇行をすれば良いという意味ではありません、それが会社の財産にどう繋がるかという合理的な理由があることが重要です。そのためには、好きな人や好きなものであり、我々自身がそこに何らか関われることに意味があると考えています。

映像業界にサッカー好きの人は多い。でも、サッカークラブにスポンサードしている制作会社なんて聞いたことない。だったらやってやろう!「映像プロダクションが、そんなことをするの?」と、世の中をちょっと驚かせたかったのです。

日々の仕事を続けていると、自分たちのやり方にも慣れて、あたらしい「普通」が生まれてきます。だからこそ、社員にも「この会社は、まだ予想外のことをやるんだな」と思っていてほしい。自分たちが好きで、会社としてやる意味がある。それなら、やってみる。その姿勢を、これからもいろいろなアクションで示していきたいと思っています。

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